1 微積分の歴史的意義①
 微積分は、一言で言えば、変化と運動を研究する数学と言えます。16世紀ごろから、ヨーロッパでは中世の封建制度が崩れて、新しい資本主義制度がそれにとって代わろうとしていました。そこでは新しい生産技術、弾道学、航海のための天文学が求められていました。
 それまでの数学ではこの要求にこたえることができませんでした。例えば、ギリシャ以来の幾何学は直線と円を研究しているだけで、機械の運動や弾道を考察することはできませんでした。
 中世数学の著しい特色の1つは、厳密な論証と、少数の公理から出発する体系付けという点にあります。ユークリッドの「幾何学原本」(B.C.290頃)はその典型であり、この本が中世数学の成立の指標となっています。それ以前の数学―古代数学は、図形や数の性質について色々な知識を集積していましたが、証明して体系づけるという発想はありませんでした。
中世数学のもう1つの特色は、“静止”や“不動”が尊重され、“運動”や“変化”は学問の対象とはなりえない“悪しきもの”とされていたことです。古代・中世の人々が、運動や変化に思いをめぐらさなかったわけではありません。しかし、それらを厳密にとらえることはとても難解で、中世の数学者の手にあまるものでした。

微積分の歴史的意義①